ウスバキトンボ

 秋空にウスバキトンボが群れをなして飛んでいます。ウスバキトンボは地方によっては「ショウリョウトンボ」「オショライトンボ」と呼ばれます。「ショウリョウ」とは使者の霊のこと。霊を送る初秋に現れるトンボです。
 調べると、全世界の熱帯、温帯に広く分布するトンボで、成熟した個体の体重は、オスが約0.3g、メスは約0.4g程度。一円玉の重さが1gですから、いかに軽いか分かります。軽さの理由は重量を徹底的にそぎ落とした体にあります。体表や翅を作るクチクラ層も極限まで薄く、それ故に寒さには弱いという特徴があります。広い翅を持ち、飛翔能力は抜群で、海を渡るトンボとして知られます。毎年南方に発生して北進しますが、極東ではフィリピン付近やインド北部などから発生して北海道からさらに北へ、ヨーロッパでは、アフリカで発生して北上しますが、アルプスを越えることはないそうです。飛翔距離は、1個体で一日最高400キロを超え、世代交代を繰り返して到達する距離は7000キロを超えるそうです。ちなみにフィリピンと日本とは直線距離にして約3000キロです。