保全花壇のジャコウアゲハ

 先週ニューズレターで紹介したジャコウアゲハの幼虫は、その後ウマノスズクサの葉をワシワシと食べて、驚くほど大きく育っています。昨日、幼虫を観察していると、そこへ親の蝶がひらひらとやってきて、強い風に吹かれながらも葉を捕らえ、お腹を曲げて卵を産み付けていきました。保全花壇のウマノスズクサは、近隣のジャコウアゲハのゆりかごになりつつあります。
 ウマノスズクサもジャコウアゲハも地方によっては絶滅危惧種(II類)に指定されています。暖かく見守りたいと思います。(京都府レッドリストではウマノスズクサが準絶滅危惧種)

ジャコウアゲハは、ふわふわとした飛び方ですが、向かい風を突いてウマノスズクサに近づきます。

上翅が白っぽく見えるのでメスであることがわかります。オスの羽は真っ黒です。

風の穏やかな場所を見つけて、卵を産みます。

時間をかけて産んでいると思ったら、何と、6個の固め産みです。

ジャコウアゲハは成長する過程で、ウマノスズクサ由来の有毒性分(アリストロキア酸)を体内に蓄えて身を守っていますが、卵の表面も同様にコーティングして守っているそうです。

蝶の卵は小さいですが、これを狙う寄生蜂(これも極小です)もいますし、テントウムシなどの肉食性昆虫の格好の餌食になりえます。

傍らでは、先輩幼虫がワシワシとウマノスズクサのつぼみでお昼ご飯中です。さらに大きくなると、茎を好んで食べるようになります。

幼虫は一見するとトゲトゲでいかつい印象ですが、トゲと見えるものは皮膚で、柔らかく、触っても全く害はありません。