「秋の七草」のひとつ葛は夏の猛暑もなんのその、旺盛な繁殖力で川辺の柳やオニグルミをすっぽりと包み込んで河川敷を覆っています。1日に40㎝も伸び、茎の総延長が1000mに達するものもあるとか。昔は蔓を縄代わりに用いたり、籠を編んだり、その繊維で織られた布は葛布として重宝されたりする有用植物でした。塊根からは良質のでんぷんが取れ、風邪薬の「葛根湯」の原料としても知られていますが、今では一旦はびこると電柱に絡みついたり、他の植物を圧倒してしまったり、手に負えない困った植物としてとらえられることもあります。しかし、花が咲くと辺りに甘い香りが漂い秋の到来を知らせてくれるなじみ深い日本の在来種でもあります。